技術情報
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鍛造用語集
鍛造用語集【た】
耐摩耗性 | 材料の摩耗に対する耐性を表す一般的な用語で、特に数値的に表現する場合には摩耗率の逆数を用いる。 |
耐力 | 引張試験において規定された永久伸びを生じるときの荷重を、平行部の原断面積で除した値。降伏点が明瞭でない材料に対して、降伏点の代りに耐力が用いられる。特に規定のない場合、JISでは永久伸びの値を0.2%にしている。 |
ダウエル | 鍛造機と金型の心出し及び位置決めのためにはめるこま。 |
高さ減少率 | 材料の成形前の高さH₀と成形後の高さHとの差の成形前の高さに対する百分率(H₀-H)/H₀×100(%)。広げ、伸し、据込みなどの加工の程度を表すときに用いられる。 |
多種少量生産 | 過去に米国自動車産業が導入を始めた少種多量生産に対する語であり、多品種のものを少量ずつ生産する方式。顧客の要求仕様、品質の多様化は、必然的に多品種小ロット生産の要請となる。鋳鍛造素形材としては、汎用化されていたものを、最終使用目的に応じて数種類の形状に分けるというユーザー側の合理化志向がこの傾向を強める。必然的に段取替えの頻度が増加するので、生産効率は悪くなるが、工程の簡略化、共通化などの対策を講じ、弱点を排除する必要がある。 |
脱炭 | 鉄鋼を炭素と反応する雰囲気中で加熱するとき、表面から炭素が失われる現象。脱炭している層を脱炭層といい、その深さを表示する用語には、全脱炭層深さ、フェライト脱炭層深さ、特定残炭率脱炭層深さ、実用脱炭層深さなどがある。 |
縦弾性係数 | 弾性応力σの弾性ひずみεに対する比Eとして表される材料定数。σ=Eε。 |
だれ | 工具などを押し込むことにより生じた周縁材料表面の引け。 |
鍛鋼品 | 適当な鍛錬成形比を与えるように鋼塊又は、鋼片を鍛錬成形し、通常、所定の機械的性質を与えるために熱処理を施した機械あるいは構築物等の部品。 |
弾性 | 負荷を受けて変形した材料が、除荷後、変形が消失して元の形状に戻る性質。 |
弾性応力 | 材料の弾性範囲内で作用する応力。 |
弾性ひずみ | 材料の弾性範囲内の応力によって生じるひずみで、塑性変形中の材料の応力が下げられたときに回復するひずみも含まれる。 |
鍛接 | 鉄鋼を半溶融状態にして、人力又は機械力によって槌打ちを加えて接合する方法。鍛接できる材料としては、主に鉄及び低炭素鋼である。加熱した材料の表面に鍛接剤(珪砂、硼砂等)を散布することにより、酸化鉄から酸素を分離して元の金属(純鉄Fe)とし、また、溶融温度を低くするため、その溶解したものが材料表面から直ちに流れ去り、表面がきれいになり、鍛接が容易にできる。 |
鍛造恒温焼ならし | 鍛造後の熱を利用し、AC₁点以下650~700℃で保持する焼きならし処理。 |
鍛造公差 | 鍛造品における最大許容寸法と最小許容寸法との差。JISでは、鍛造公差を、①鍛造品の正味重量、②材料による鍛造成形の難易度、③形状の複雑度、④型割線の形状、⑤呼び寸法によって規定している。なお、プレス及びハンマ加工では、精級、並級の等級を設けているが、アプセッタ加工では等級を設けていない。 |
鍛造焼入れ | 鋼にオーステナイト状態で鍛造を施し、そのまま直ちに行う焼入れ。鍛造を安定オーステナイトで行うものと、準安定オーステナイト状態で行うものとの2種類がある。 |
断面減少率 | 材料の成形前の断面積A₀と成形後の断面積Aとの差の成形前の断面積に対する百分率(A₀ーA)/A₀X100(%)。押出し、伸ばしなどにおいて加工度を表すときに用いられる。 |
鍛流線 | 材料の初めの長さ方向の繊維組織が、鍛造によって変えられた模様。鍛造材料等を展延の方向に平行な面で切断し、この面について、サルファープリント、マクロ腐蝕などの方法で調査したとき、その面に観察される組織。メタルフロー。 |
鍛錬成形比 | 鋼材の熱間鍛錬作業における鍛錬効果を表す尺度。三方向の主ひずみのうち、常に最大ひずみの方向の変形比で表示する。例えば実体を鍛錬して、その断面積を減少して長さを増す場合は、これを実体鍛錬と称し、その鍛錬成形比はℓ(鍛錬後の長ざ)/L(元の素材の長さ)で表される。これは、またA(元の素材の断面積)/a(鍛錬後の断面積)に等しい。あるいは据込み鍛錬し、横断面積を増して高さを減少する場合は、その鍛錬成形比はh(鍛錬後の高さ)/H(元の素材の高さ)で表される。 |
窒化処理 | 鋼材をNH₃ガス中で加熱しFe₄NあるいはFe₂Nの化合物を生成させて、鋼の表層に硬化層を形成すること。窒化層は浸炭硬化層に比べてはるかに硬く、耐摩耗性及び耐食性に優れている。窒化に用いられる鋼を窒化鋼という。窒化温度ば普通500~550℃、処理時間は50時間で、0.5mmの窒化層を得るのが標準の処理方法である。 |
超音波探傷検査 | 超音波を鍛造品中に伝えたときに鍛造品が示す音響的性質を利用して、鍛造品の内部欠陥や材質などを調べる非破壊検査方法。 |
調質 | 鋼の粘性、靱性などを向上させるための熱処理操作。通常は、焼入れ、焼戻しなどの熱処理により、鋼中の結晶粒の大きさを小さくすることを調質という。機械的な操作と熱処理を併用することもある。 |
低温もどし | 焼入れした鋼をフェライト界域の特定な温度に再加熱し、変態または析出を進行させて安定な組織とする処理。通常硬さを必要とするものは150℃から200℃、また靱性が要求されるものは500℃前後で処理する。 |
低温焼なまし | 変態点以下の温度で行う焼なまし。この操作では、一般に金属の組織が変化するようなことはないが、格子欠陥が減少するので延性を回復する。しかし、銅固溶体合金のように、強加工の後、低温焼なましを行うと硬化するものもある。残留応力の低減又は軟化を目的とした処理。 |
ディスクローリング | 円板状の材料を、数個のロールを用いて、厚みを減らしたり、増したりすることにより、所要の断面輪郭を持つ円板部品に成形する鍛造。 |
テーパ | 軸部の軸径や穴部の内径などの軸方向寸法、あるいは板材やブロック材の厚さなどが一定の勾配で変化すること、あるいはその度合。製図では、相対する両側面が対照的に傾斜している場合をテーパといい、片面だけの傾斜を勾配という。 |
投影面積 | 型鍛造では型打ち面積のことを指す。鍛造荷重が主に働く面積のことで、通常は型彫り形状にばり道面積を加え、それを鍛造方向に直角な面に投影して出来る面積。 |
特殊鋼 | 一般的に、炭素鋼に、ある量以上の特殊元素を1種又は2種以上添加させた鋼で、かつその特殊元素の含有により、なんらかの有用な特殊性能が現れた鋼をいう。普通鋼に対立する呼称。機械その他重要な部分に用いられる鋼であり、近年、その需要は高まっており、機械構造用炭素鋼、構造用合金鋼を始め、工具鋼、ばね鋼、軸受鋼、ステンレス綱、その他多種類ある。 |
トランスファ送り装置 | 連続した何工程かの加工を行うように配置した金型又はプレスの間を連絡して、前の金型から加工品をつかんで取り出し、次の金型内の正しい位置に送り込むようにした全自動送り装置。大別して、送り機構が単なる直線運動をする送りスライドとはね付きフィンガーとで構成される最も簡単なものから、クランプとアンクランプを加えてボックス形の平面運動をするもの、更に上下方向の動きを加えて立体的運動を行うものまである。この送りを使うと、加工が完全に省力化できるが、往復運動が中心になるので、加工速度をあまり大きくすることができないのが欠点である。 |
トランスファプレス | 材料のトランスファ送り装置を内蔵した機械プレス。最初からトランスファ送り機構を組み込んで作られた自動プレスで、決められたステーション数の範囲で、金型と送り装置のフィンガーなどを交換することによって、多種の製品の成形を全自動で行うことができる。 |
取り代 | 鍛造品において、切削又は研削によって除去される部分の寸法。部品を図面どおり正確に仕上げるために、素形材には機械加工の前にあらかじめ余肉を付ける。 |
トリミングプレス | 鍛造品のトリミングに使用されるプレス。一般にクランクプレスが多く用いられている。他の曲げや矯正作業、コイニング等を兼用するプレスもある。 |
トリム型 | 板金プレス加工において、絞り品や成形品の縁切りに用いる型の総称。フランジ付き製品の外縁を与えられた形状にトリミングするフランジトリム型、絞り製品の口縁部の不要部分を切断するフラッシュトリム型などがある。鍛造加工においては、フラッシュを切断する型は一般に抜き型又はトリミング型と呼んでいる。 |